〔コラム〕秋吉台国際芸術村はどうなるのか(2024/03/08更新)

 国定公園秋吉台のふもとにある県立文化施設・秋吉台国際芸術村は、1998年に開村して25年間、山口県を代表する芸術文化施設として親しまれてきました。

 人里を離れ、大小の豊富な練習場と宿泊機能を備えた芸術村には、多くの音楽団体が練習に訪れており、県外の大学オーケストラの合宿練習も行われています。また、山口ゆかりのアーティストの支援事業や音楽セミナーが実施され、一流の芸術家、指導者と受講生が国内外から集まっています。

 このように、秋吉台国際芸術村は、文化芸術で山口県を国内外に発信している、かけがえのない施設です。今後、山口市民会館が音響の良い文化ホールとして生まれ変わった暁には、芸術村と市民会館の共催で音楽祭やセミナーを開催するなど、新たな発展の可能性も期待できるでしょう。

 ところで、秋吉台国際芸術村は5年前、存亡の危機に直面しました。2019年8月、県の行財政構造改革の一環として県有施設の見直し方針が示され、「芸術村は廃止。なお美祢市が希望すれば市に譲渡」という案が示されました。

 これに対し、県内の文化関係者が芸術村の存続を求める署名運動を展開し、18,000筆を超える署名が集まった結果、県は、「期限ありきで見直しを進めるのではなく、十分な協議を継続する」と軌道修正を行いました。

  その後発生したコロナ禍への対応のため、県の行財政構造改革は一時凍結されましたが、コロナ対策が落ち着いた今、再び県有施設の見直し問題が浮上しました。3月7日の山口県議会本会議で、県は「令和6年度中(2025年3月まで)に見直し対象施設の今後の取扱いを決定する」と答弁しました。これは、芸術村の廃止も選択肢に含んでいるものと思われます。

 山口市民会館も秋吉台国際芸術村も、文化芸術の発展に欠くことのできない施設です。芸術村をめぐる動きも注視していく必要があります。

(文責:事務局)