今日、国全体が人口減少問題に直面しています。行政サービスを維持するためには、人口が減少する中にあっても、経済の成長、発展をめざす必要がありますが、それは可能なのでしょうか。その方策として注目されているのが文化政策です。
その理由は、まず、文化芸術の振興によって、いわゆる「文化人口」「交流人口」を増やすことができ、それが新たな経済需要や付加価値を生み出すからです。一例として、ある高校では、過去約40年間に全校生徒数が約3割減少しましたが、音楽部活動の部員は約60人から約120人へと倍増しています。文化人口は伸びしろが大きいことがわかります。
また、文化政策は、自治体によって取組の差が大きいという特徴があります。積極的に市民参加型、市民創造型の企画を行う都市がある一方で、貸しホール事業しかやらない都市もあるなど、熱心な都市とやる気のない都市の差が著しい分野です。言い換えると、文化政策に力を入れる自治体は、都市間競争で優位に立てるということにもなります。
国においても、文化芸術が果たす役割を重視し、「経済と文化は国の発展を促す車の両輪」「文化芸術は成熟社会における成長の源泉」という理念を掲げて政策を進めています。
以上のことから、文化芸術は、都市の単なるアクセサリーではなく、成長、発展をもたらす貴重な「資源」として理解することが重要です。
老朽化した山口市民会館が、今日のニーズに対応する優れた文化ホールに生まれ変われば、市内外からの来客も更に増え、経済活性化だけでなく、次代を担う子どもたちの創造力・企画力の向上にもつながるでしょう。
人口が減少する時代だからこそ、市民の文化芸術活動の拠点となる文化ホールの役割が一層重要になるのではないでしょうか。(文責:事務局)