市民の文化芸術活動の発展や、文化交流を通じた山口市の文化的・経済的な成長を促進するためには、山口市民会館を建て替え、音響などのクオリティが高く、十分な収容定員を有する、円滑なイベント運営に必要な広い敷地とバックヤードを備えた、市民や演奏家、主催者に「選ばれるホール」を整備することが急務です。
(1)県最大のキャパシティと高いクオリティを持つ音楽ホールが必要です
① 優れた音響の大ホールが必要です
山口市民会館大ホールの残響時間は1.1秒ですが、今日の同規模のホールでは1.6秒~1.8秒が標準です。1.6秒の周南市文化会館は評価が高く、県民憧れのホールであり、主催者が会場を選ぶ際の第一候補となっています。山口市民会館の残響の短さはホールの構造も影響しているため、建替えが必要不可欠です。
② 多くの市民の鑑賞ニーズに応えるためには、現状を超える席数が必要です
一般的に、ホールの収容定員が小さいほどチケット単価が高くなり、市民が一流演奏家のコンサートに行きにくくなります。少しでも安価で市民に鑑賞機会を提供するには、チケットを多数販売できる豊富な席数を持つ音楽ホールが必要です。
また、山口市民会館では、これまで、山口高校などの地元団体やプロの演奏会、吹奏楽コンクール山口県大会などの音楽イベントで1,500席の大ホールが満席になった実績がいくつもあることから、現状を超えるキャパシティが不可欠です。
③ 一流の舞台芸術や全国大会、中国大会を誘致できる規模と質が必要です
一流演奏家や全国大会を誘致して優れた演奏に触れることは、演奏技術の向上にもつながります。実際、国民文化祭やまぐち2006以降の10年で、その前の10年と比べ、吹奏楽コンクール全国大会に進出した県内の学校が数倍に増えました。
一方、吹奏楽コンクール中国大会では、各県で最大規模(1,800席クラス以上)の音楽ホールが求められるため、山口県では唯一それに対応できる周南市文化会館(1,800席)で開催されており、山口市民会館(1,500席)では開催されません。
県庁所在地の中心的な音楽ホールの規模では、1,500席という最小クラスはわずか数県で、特に、新幹線が停車する県庁所在地では、山口市民会館は全国最小です。山口市は湯田温泉という他市にない有利な集客条件を備えていますが、音楽ホールが十分ではないため、通常なら県庁所在地で開催されるような音楽イベントの誘致ができません。これは、文化的にも経済的にも、市民の損失であると言えます。
(2)多彩な文化芸術活動を支える小ホールや展示ホールの拡充が必要です
山口市では、ダンスや、鷺流狂言などの伝統芸能、生け花などの生活文化の活動も盛んですが、山口市民会館は、そうした多彩な文化芸術活動に必要な小ホールや展示ホール、和室なども手狭で、バックヤードも狭く、しかも既に敷地いっぱいに建築されているため、増築や改修の余地がありません。山口市民会館の建替えは急務です。